放送情報
放送年月:2001年7月劇場公開
2001年7月に劇場公開。スタジオジブリ作品としては『もののけ姫』に続く大作で、興行収入は当時の日本歴代1位を記録しました。
監督・脚本は宮﨑駿、音楽は久石譲。日本アカデミー賞最優秀作品賞、第75回アカデミー賞長編アニメーション映画賞など国内外で多数受賞し、その後もリバイバル上映や配信サービスで高い人気を維持しています。
制作時には「現代の子どもが異世界で自立していく物語」をテーマに、各地の温泉旅館・古建築をスタッフが徹底取材し、油屋のデザインは複数の場所を合成する形で完成しました。
作品自体が「旅」を大きなモチーフにしているため、公開から20年以上経った今も国内外で聖地巡礼熱が衰えることはなく、ファンのみならず歴史建築や温泉文化に興味を持つ旅行者にも広くアピールし続けています。
あらすじ
10歳の少女・千尋は両親と引っ越し先へ向かう途中、ふと立ち寄ったトンネルの先で神々が集う不思議な世界に迷い込みます。
両親は勝手に料理を食べてブタに姿を変えられてしまい、千尋は自分の名前を奪われ「千」として湯屋で働くことに。
謎の少年ハクや個性豊かな従業員たちとの出会い、カオナシや顔無しの暴走、湯婆婆との契約、さらにハクの失われた本名「ニギハヤミコハクヌシ」の謎を巡りながら、千尋は家族を救い自らのアイデンティティーを取り戻していきます。
作品は「名前」「労働」「贖罪」「成長」といった普遍的テーマを丁寧に描写し、神話や民俗学モチーフ、そして日本の温泉文化が色濃く反映された美術背景が特徴です。
視覚的・音楽的な豊かさはもちろん、子どもが大きな困難を前にしても粘り強く乗り越える姿が、世代や国を越えて多くの共感を呼びました。
おすすめスポット紹介
スポットの魅力:
①目黒雅叙園(東京都)
昭和初期に建てられた旧雅叙園3号館「百段階段」は東京都指定有形文化財。朱塗りの階段廊下の両側に7つの豪華な和室が連なり、極彩色の天井画・欄間彫刻が油屋内部のきらびやかな意匠を想起させます。季節ごとの美術展も充実し、作品世界を五感で体験可能。
②積善館(群馬県四万温泉)
寛永年間創業、日本最古の木造湯宿建築といわれる本館は、赤い橋「慶雲橋」とともに水面に映る姿がアイコニック。夜間ライトアップ時は油屋にそっくりの幻想的な雰囲気に包まれます。館内の千と千尋ミニギャラリーも要チェック。
③九份(台湾・新北市)
山肌に張り付く階段路地と赤提灯、茶芸館が立ち並ぶ街並みが「湯屋の外観モデル」として有名。実際には映画公開後に聖地として注目が集まり、店舗側もファン向け装飾を強化した経緯がありますが、霧に包まれる夕刻〜夜が特にフォトジェニック。
④道後温泉本館(愛媛県)
明治27年竣工の木造三層楼。宮﨑駿監督が社員旅行で訪れた際、唐破風屋根や複雑な廊下構造を参考にしたと語られています。現在は保存修理工事中(営業しながら部分公開)ですが、足湯や商店街など周辺も充実。
アクセス情報
アクセス詳細:
- 目黒雅叙園:JR・東急「目黒」駅西口から行人坂を下って徒歩約15分。無料シャトルバスあり。
- 積善館:JR吾妻線「中之条」駅から四万温泉行き路線バス約30分、「四万温泉」下車すぐ。東京から高速バスも運行。
- 九份:台北MRT「忠孝復興」駅近くのバス停より基隆客運1062番で約1時間、「九份老街」下車。日帰りツアー利用も便利。
- 道後温泉:JR「松山」駅から伊予鉄道市内電車で約20分、「道後温泉」停留場下車すぐ。空港リムジンバスもあり。
訪問時期・時間帯:
春は桜、夏は深緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、各地で四季折々の情緒が味わえます。九份は雨が多いものの、霧と灯りが織りなす夜景が最大の魅力。
目黒雅叙園の百段階段企画展は平日午前中が比較的空いており、写真撮影もゆったり楽しめます。積善館は宿泊者限定の早朝撮影タイムが人気。
現地での楽しみ方
- 地元の人との交流: 九份の茶芸館ではスタッフが日本語で昔ながらのお茶の淹れ方をレクチャー。四万温泉では「千と千尋」ファン向けの散策マップを配布しており、女将さんたちが撮影スポットを教えてくれます。
- マナー・注意事項: 百段階段・道後温泉本館の内部は一部撮影禁止。九份の階段は狭く滑りやすいので雨天時は滑り止め靴推奨。温泉街ではタオルを巻いたまま外を歩くのは避け、地域住民の生活エリアには立ち入らないよう配慮を。
- 周辺観光・宿泊情報: 目黒では雅叙園宿泊のほか、近隣の自然教育園で都会の森を散策可能。四万温泉は外湯めぐりや奥四万湖のコバルトブルー絶景が圧巻。松山・道後エリアは松山城や坊っちゃん列車など文学・歴史スポットが豊富です。
- 豆知識: 油屋の外壁カラーリングは積善館の赤色に、屋根の曲線や唐破風は道後温泉本館に、内部装飾は目黒雅叙園に着想を得た“ハイブリッド設計”と言われています。九份の阿妹茶樓の赤提灯は公開後に設置。
- ファンの口コミ: 「赤い橋を渡った瞬間、頭の中で『あの夏へ』が流れた」「九份で霧が晴れた瞬間、油屋が現れたようで鳥肌」「道後温泉の迷路のような廊下が本当に千尋気分」などSNSで投稿多数。
- フォトスポット情報: 百段階段「漁樵の間」の天井画、積善館慶雲橋を正面から望む足湯前、九份老街の石段中央から見上げる提灯列、道後温泉本館北側の振鷺閣(しんろかく)。夕暮れ〜ブルーアワーがベスト。
- 行動を促すメッセージ: 油屋の灯りがともる瞬間をその目で確かめに行きませんか? “あの世界”は、意外とあなたのすぐ近くに広がっています。