「すずめの戸締まり」の舞台を巡る:日本各地の聖地探訪|詳細

聖地巡礼・観光|深堀り詳細

放送情報

放送年月: 2022年11月11日(劇場公開)

『すずめの戸締まり』は『君の名は。』『天気の子』に続く新海誠監督の長編アニメ第7作目として公開され、全国418館のスタートで初週末3日間の興行収入は18.8億円、観客動員133万人という大ヒットを記録しました。

最終興行収入は148.6億円で、歴代邦画興収トップ10にランクイン。海外92地域で配給され、北米・欧州・アジア各国のレビューサイトでも高評価を獲得しました。制作はコミックス・ウェーブ・フィルム、キャラクターデザインは田中将賀、音楽はRADWIMPSと作曲家・陣内一真が担当。主題歌「すずめ feat.十明」はサブスク累計再生数3億回を突破しています。

2023年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門正式出品、英国アカデミー賞アニメ映画賞ノミネートなど海外賞レースでも存在感を示し、「ロードムービー形式で自然災害と再生を描く」という独自のテーマが国内外の観客に深く刺さりました。

あらすじ

17歳の女子高生・岩戸鈴芽は宮崎県の日向灘沿いに暮らし、幼少期に母を亡くした喪失感を抱えながらも明るく生きています。

ある朝「扉を探している」という青年・宗像草太に出会い、放置された温泉旅館の廃墟で謎の扉を開けてしまう。

そこから“後ろ側”と呼ばれる死者の世界へつながる巨大な災厄“ミミズ”が姿を現し、日本中に震災級の被害をもたらしかねない状況に。

閉じ師である草太は扉を封じるが、鈴芽が抜いた要石が暴走し、草太は三本脚の子ども椅子に姿を変えられてしまう。

逃げた要石を追い、鈴芽と椅子になった草太は九州→四国→関西→東京→東北へと列島を北上。“後ろ戸”を閉める旅の中で多彩な人々と触れ合い、震災の爪痕を目の当たりにしながら、鈴芽は自分自身の過去——実は幼い自分が東日本大震災の被災地で出会った少女だった——と対峙していく。

災厄を鎮める鍵は「喪失を抱えながらも生き続ける決意」。

物語は“閉じる”行為を通して“心を開く”成長譚へと昇華し、鑑賞後は「自分も誰かの扉をそっと閉じたい」という静かな衝動に包まれるでしょう。

おすすめスポット紹介

  • 福岡県太宰府市「太宰府天満宮」
  • 長崎県長崎市「端島(軍艦島)」
  • 宮城県東松島市「旧野蒜駅震災遺構」

スポットの魅力:

太宰府天満宮は1100年以上の歴史を誇る天神信仰の総本社で、楼門・心字池・太鼓橋・本殿が劇中に写実的に描かれています。

学問の神様として有名で、鈴芽が「知らない世界へ踏み出す」きっかけの場として象徴的。表参道の石畳や梅ヶ枝餅の香りが“旅の始まり”を体感させてくれます。

軍艦島は海底炭坑のために人口密度世界一を誇った頃の集合住宅群がそのまま残り、「文明の栄華と衰退」というテーマが作品の廃墟美と共鳴。波しぶきを浴びながら崩れゆくコンクリート壁面を眺めると、鈴芽たちが直面した“後ろ側の世界”がリアリティを帯びます。

旧野蒜駅は東日本大震災で津波被害を受けた旧駅舎・線路・ホームを保存公開した施設。終盤で鈴芽が幼少期の自分と出会うクライマックスを想起させ、静かな空気の中で黙祷すると作品テーマ「祈りと再生」が胸に迫ります。

3地点を巡礼することで歴史・産業・震災復興という日本社会のレイヤーを多角的に体験でき、聖地巡礼を超えた“心の旅”が完成します。

アクセス情報

アクセス詳細:

  • 太宰府天満宮:福岡空港→地下鉄空港線11分→天神駅。徒歩で西鉄福岡(天神)駅、急行・特急で二日市駅乗換、西鉄太宰府線で終点太宰府駅。表参道経由徒歩10分。
  • 軍艦島:JR長崎駅→路面電車5号系統17分→大浦海岸通。徒歩6分の元船桟橋からクルーズ船(周遊+上陸コース約2.5時間、料金4,600〜5,000円)。上陸には長崎市発行の許可証をツアー会社が代行取得。
  • 旧野蒜駅:JR仙台駅→仙石線快速45分→野蒜駅下車。徒歩5分で震災遺構。車の場合、三陸道松島海岸ICから約15分、無料駐車場有。

訪問時期・時間帯:

太宰府は梅の季節(2〜3月)と紅葉(11月)が最盛期ですが平日早朝8時前なら写真も人影少なめで撮影◎。軍艦島は冬〜早春は空気が澄み逆光の廃墟が映えますが欠航率が上がるため予備日を確保。旧野蒜駅は3月11日慰霊祭周辺は厳粛な雰囲気で静粛マナー必須。夏季は3地点とも日差しが強く帽子・水分必携です。

現地での楽しみ方

  • 地元の人との交流: 太宰府表参道「かさの家」で梅ヶ枝餅を買いながら店員さんに撮影裏話を聞くと穴場撮影位置を教えてくれることも。軍艦島ツアーは元炭鉱員OBが案内する便を選ぶと、当時の生活音・匂いまで語ってくれる臨場感が格別。旧野蒜駅は語り部ボランティアが震災当日の写真を見せながら案内してくれるため、作品理解と防災意識が同時に高まります。
  • マナー・注意事項: 軍艦島は保護区域で立入禁止ラインを越えると即ツアー終了&罰則。長袖・スニーカー必須。ドローン・三脚・自撮り棒禁止。太宰府では本殿前でのコスプレ撮影は社務所の事前許可が必要。旧野蒜駅の慰霊スペースでは飲食・喫煙厳禁、献花を写す場合は遺族に配慮し顔が写らない構図で。
  • 周辺観光・宿泊情報: 福岡泊は博多駅直結「都ホテル博多」で天空スパを堪能→屋上温泉から空港離発着の飛行機を眺める“旅の序章”体験が人気。
    長崎泊は「ガーデンテラス長崎」で1000万ドル夜景と和洋中ブッフェを。同ホテルは劇中の夜景カットと同アングルで撮影可能。
    仙台では秋保温泉「ホテル佐勘」に足を延ばし、伊達政宗ゆかりの湯と牛タン会席で締めくくるのがおすすめ。
  • 豆知識: 劇中の三本脚椅子は北欧チェア「トリップトラップ」を日本の学童用サイズで再設計したオリジナル。
    要石の猫の名前「ダイジン」は太宰府天満宮の祭神・菅原道真公の官職“右大臣”が由来。
    太宰府の心字池に架かる三連太鼓橋は「過去・現在・未来」を表し、鈴芽の成長物語とリンクします。
  • ファンの口コミ: 「軍艦島の潮風とコンクリートの匂いで一気に物語が蘇った」「旧野蒜駅で黙祷した瞬間、エンドロールの余韻が涙と共に戻ってきた」など、体験型レビュー多数。
    巡礼を機に被災地へ寄付したファンも増え、“観光×支援”の好循環が生まれています。
  • フォトスポット情報:
  1. ①太宰府・楼門と心字池の水鏡(早朝無風時)
  2. ②軍艦島65号棟の斜光(15時前後)
  3. ③旧野蒜駅ホームの夕焼け+津波到達線
  4. ④福岡空港国内線展望デッキで旅立ちショット。
  • 行動を促すメッセージ: スクリーンの“扉”を越えて、自分だけの“戸締まり”を完成させる旅へ——太宰府の澄んだ朝、軍艦島の潮騒、旧野蒜駅の静寂があなたの心に新しい鍵穴を開いてくれます。さあ、次の休暇を予約して「物語の続きを自分の足で」体験しましょう!